山がとりどりの緑に彩られ、若葉風をきってつばめが飛び交うこの季節、鹿児島でよく作られるお菓子が「けせん団子」です。
「けせん」は、ニッケやシナモンのようなクスノキ科ニッケイ属の木で、昔は鹿児島のどこの家の庭先にも植えられていたそうです。その葉で小豆団子をはさんで蒸し上げたのが「けせん団子」。
子供の頃は、ニッキの独特の香りがちょっと苦手でしたが、今ではその香りがいいんだなぁと思うのですから、大人になったものです。
けせんの葉あっての「けせん団子」作りですが、我が家にはけせんの木がありません。よく行く直売所の方に相談すると、自宅の庭先のけせんの葉をわけて下さいました。
今から25年ほど前に出された「さつまの味めぐり3 ふるさとのお菓子の歳時記」(鹿児島県食生活改善推進員連絡協議会発行)という本を見ながら作ってみました。
材料(およそ30個分)
もち粉 300g
砂糖 300g
さらしあん カップ1
塩 一つまみ
水 加減を見ながら
粉と砂糖、さらしあん、塩ひとつまみをボウルに入れ、全体をよくまぜます。
水は様子をみながら、たららっと少しずつ加えていき、耳たぶくらいの固さになるまで5分ほどこねます。
けせんの葉の大きさに合わせて、お団子を丸めます。
けせんの葉ではさんで
蒸気のあがった蒸し器で、15分くらい蒸して出来上がりです。
むっちり甘いお団子が、けせんの葉のスパイシーな香りをまとってさわやか。この季節、鹿児島産の新茶といただくと、文句なしの名コンビです。
けせんの木は、近ごろめっきり少なくなってきて、けせんの葉もなかなか手に入らなくなっていると、直売所の方が教えてくれました。切ないけれどいつの日か、けせん団子が過去のお菓子になるのかもしれません。
この時期どこかでけせん団子を見かけたら、ぜひ味わってみて下さい!